short novel
班
あたしは、ミケ班に配属されていた
だが、とある時期からリヴァイ班へ編入を余儀なくされてずっと口を尖らせている
あたしはミケ班に残りたかったからだ
ミケさんは、あたしが選んだあたしだけの直属の上司だとずっと思っているから
それを口にすると、あたしの直属の上司になったリヴァイ兵士長じゃなくてなぜだかペトラとオルオが咎めてくる
いや、そりゃ…そうだが、あたしは兵士になってからずっとミケさんやナナバさん、ゲルガーさんやトーマさん、リーネさん、ヘニングさんに鍛えて貰って共に壁外調査へ出て戦ってきた
リヴァイ兵士長とも、命を賭して戦う場で背中を預けあって(私が一方的に預けただけの様な気もするが)いるが、それとこれとは別だ、とあたしは思う
元々ミケさんの班だったから、息を合わせるのにもそちらの班にいた方が効率が良いだろうに…
エルヴィン団長は
「リヴァイが君を指名した」
と、一言
いや、リヴァイ兵士長にこんな…生き汚ぇ、顔面ぶち汚ぇと毎度罵られている奴が選ばれる訳ねぇだろと心の中で悪態を突きつつ、しばらく前の壁外調査から正式にあたしはリヴァイ班の一員となった
班のメンバーが変わることはよくある
調査兵団は、人がよく死ぬ
だから別班に行っても別班で組んでもさして問題はないし、いざこざにもならない
だから、まぁ仕方がないと前回の壁外調査を前にして不満を垂れるのは辞めた
班が変わってもナナバさんやリーネさんと食事を共にするし、そうするとミケさんも時折来てくれるからあたしの幸せは保たれていると言っても過言では無い!
今日も生きててくれてありがとうございます!!!カッコ良い!!!
それに〜!お昼終わりに鍛錬をしているのだが、それに必ずミケさんが着いて鍛えてくれる!!!
あたしとミケさんの日課である
初めて自身の鍛錬をお願いした日からの日課なので、もう崩れないルーティンと言っても過言ではなかった
普段は、この後にミケさんと紅茶を飲むのだが何故か今日はリヴァイ兵士長に呼ばれているので
泣く泣くミケさんと別れ、リヴァイ兵士長の部屋の前に待機
時間になったら2回程ノックをして、自身の名前を呼び入ってもいいかの許可を取る
「入れ」
リヴァイ兵士長は、気難しい方だと思う
人類の未来をその背に背負って、過酷な選択を一瞬で下すその判断力には私も感服している
それに、人間とは思えない身体能力で巨人を倒してゆくその様は……もう、なんか、うん、大変そうだと思う。決して考える事が面倒になったって訳では無い。私はこういう、ごちゃごちゃしたことは苦手なんだ!!
人の事を考えるのは、苦手だ……
・
・
・
「今回、お前を呼んだのは…特に意味はない」
「……へ?」
「そこに座るといい、紅茶を入れよう」
「…!!いえ!私が!」
「いい、そこに座っていろ」
カチャ、カチャと食器の音が響く……
いっ、いったい、どういう事だ…?
私はなぜ兵士長と向かい合って、座って、紅茶を…??
ま、まさか……
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「俺の班に入っても俺を敬ってないなぁ〜!」
ンゴゴゴゴゴ!
「やぁー!ずびばぜ〜ん!」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
…みたいな?
んびー!!!!!!すみません!!!!!!すみません!!!!敬います!敬います!
ごべんなさい!!!!
「……落ち着け、顔がうるさい」
…顔がうるさいとは?
幼い頃の思い出
「よぉいしょっと…」
事故で亡くなった父の代わりに街から食材を買いに出かける
その街中で駆ける妹を見つけて頭を撫で日が暮れる前に帰るよう言付けをし、頭を撫でて帰宅する事が私にとっての日課であった
今は頭を撫でることは無くなり、調査終了後に壁内への帰宅の際に安否の確認をされつつその時の近況を聞き兵団へ戻っている
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